全然磨いていないあの人が歯周病じゃないって、なぜ?
こんな疑問もでる歯周病。今回はわかっているようで、想像以上に奥が深い「歯周病」について、基本から対策まで最低限知っていただきたいことをまとめました。
そもそも歯周病の原因とはなんでしょう?説明できますか?
「お口は体の中で一番汚れていて、朝起きた時のお口の中の細菌はスプーン1杯分のうんち」に相当するなんて話を耳にした方は少なくないのではないでしょうか。
お口の中には細菌がたくさんいます。私たちは細菌と一緒に生活しています。といっても、お口の中の細菌は悪さをするわけでもなく生体恒常性のバランスをとってくれる大切な存在でもあります。
ところが、何らかの原因でお口の中の細菌のバランスが崩れてしまうと、身体に悪影響を及ぼす特定の細菌が増えたり、全体の細菌量が増加して歯周病が発症してしまいます。これが歯周病の原因です。
歯周病の危険度を高めてしまう”喫煙”と”糖尿病”
喫煙も糖尿病も血液と血管に悪影響を及ぼすことが理由です。
喫煙
私たちは酸素がないと生活出来ません。赤血球はそんな大切な酸素を運んでくれますが、タバコに含まれるニコチンによって血管、特に口腔粘膜の毛細血管をギュッと縮めてしまい、赤血球の仕事を妨害してしまいます。
また煙に含まれる一酸化炭素は、酸素運搬の役目をする赤血球の運搬を邪魔します。
アイコスやグローなどの高温でタバコの葉を加熱する加熱式タバコも、タバコ葉に含まれるニコチンの影響があります。従来型の紙巻きタバコじゃないから大丈夫と思っている人も要注意です。
糖尿病
糖尿病によって血管がダメージをうけます。
赤血球中に含まれるヘモグロビンの一部が糖化しAGEとなります。このAGEに免疫が反応し、歯周組織に影響を及ぼします。
糖尿病の患者さんは歯周病が重症化しやすく、また歯周病が重症であるほど血糖コントロールは悪化しやすいです。
しかし歯周病が改善すると血糖コントロールも改善するため、歯周病治療を行うことが重要であることがお分かりいただけると思います。
AGE(Advanced Glycation End-products)エージーイー、終末糖化産物のことで、血液中のブドウ糖がタンパク質と結びついたものです。人の体はほぼタンパク質でできているため、血糖値が高くその期間が長い人ほどAGEが大量につくられ、体中に様々な病気を引き起こします。AGEsともいいます。
歯周病には、進行しやすい人とそうでない人がいます
歯周炎が重症であるほど、遺伝的な要因が強くなるということは言われています。
歯周病は様々な要因が重なり合って発症する多因子疾患です。特定の遺伝子だけが原因で、発症や進行する速さが決まるものではありません。
しかし、歯周病であると全身に悪影響を及ぼすことは明らかになってきています。
- がん
- 動脈硬化
- 心臓病
- 誤嚥性肺炎
- 低体重時早期出産
- 脳卒中
- 心内膜炎
- 糖尿病
- 関節リウマチ
- 骨粗鬆症 など
まとめ:重要なのは”細菌コントロールブラッシング”
歯を磨いているつもりでも、実際は磨けていないく細菌の塊であるプラークを落とせてない方は多くいます。
また、電動歯ブラシや音波歯ブラシを使っていても使いこなせていなく、磨き残しが多い方もたくさんいます。
せっかく歯を磨いているんだから、しっかりと細菌をコントロールできるようなブラッシングが大切ですよね。
歯科医院でブラッシングチェックしたことがない方は一度相談してみるのもいいでしょう。
またプラーク染め出し剤を使って、自分の磨き残しを確認するのもいいですね。