江戸時代 太玄斎によって記された「暦便覧」という暦の解説書から。
北半球では太陽の位置が最も高くなりますが、「陽熱至極し〜」からも何か太陽の力が極まるような感じがしますね。
夏至は1年で最も昼が長い日。そして影が短くなる日。
夏至を迎える日、日本は雨がしとしと降っているような梅雨の季節ですので太陽を拝めることは少ないかもしれません。
しかし夏至の日をお祝いする風習は世界にも多くあるようです。日本でも二見興玉神社の夏至祭や京都に代表される夏越祓があります。
それだけ夏至には何か特別想いや祈りが込められて、現在まで様々な風習が残っているんでしょうね。
今回はその中でも夏越祓にフォーカスを当ててみたいと思います。
夏越祓(なごしのはらえ)
6月下旬、京都の多くの神社では大祓えの行事のひとつ『夏越祭(なごしさい)』が執り行われます。
大祓とは6月と12月の末に行われ、除災を意図した神事です。12月の大祓を年越しの祓、6月の大祓を夏越祓といいます。
大祓は8世紀初頭に編纂された大宝律令によって宮中の正式な行事として認められました。
6月晦日に貴族たちは大祓祝詞を読み人々が犯したケガレや罪を払ったと言われています。
昔は現代のように毎日お風呂に入ったりするような習慣もなかったため、夏は疫病が流行りやすい。疾病を予防するという意味もあったと考えられ、このような行事が庶民に広まって、多くの神社で夏越祭が行われるようになったそうです。
茅の輪くぐり
賀茂別雷神社(上賀茂神社)
茅で作られた大きな輪の中を、「水無月(みなづき)の夏越の祓する人は千年(ちとせ)の命延ぶといふなり」と唱えながら左回り、右回り、左回りと8の字に3回くぐって穢れを払います。
茅の輪を腰につけていることで災厄を免れることができると言われる厄除茅の輪。
これは牛頭天王(スサノオノミコト)「蘇民将来」の説話によるものですね。そして祇園祭で授与される粽(ちまき)にも繋がります。
人形(ひとがた) 形代
この時期神社には紙で作った人形がおいてあります。人形には名前と年齢を書いて「ふっ」と息を吹きかけて穢れを人形に移します。また身体の悪い部分を人形で撫でて移します。
上賀茂神社では6月30日茅の輪くぐりの神事の後に、人形をならの小川に流して穢れを祓う人形流しが行われます。
京都の人は必ず食べる水無月
京都では6月30日に必ず水無月というお菓子を食べるそうです。
しかも水無月に熱い情熱を持っている京都の人が多いとか。
それぞれがお気に入りの和菓子屋さんで水無月を購入するなんて、なんだか楽しそうですよね。
水無月の基本は葛や外郎(ういろう)の上に小豆をのせ三角に切ったもの。お店によっては抹茶味のものもあります。
小豆は魔除けの意味があり、三角の形状は氷室の氷をあらわしています。
昔は夏の氷なんて超貴重品!!庶民は口にすることなんてできなかったのは想像できますね。
夏越祓には水無月は必ずなくてはならない催事菓子ですね。
6月にはぜひ茅の輪くぐりをして水無月を食べ、無病息災を祈願しにっこりできるといいですね。