インプラント治療を成功に導くために大切なことはなんでしょうか?
key wordsを3つ挙げるとするとこのようになります。
炎症の抑制
修復物の設計
機能と審美
つまりこの3つが達成されないとインプラントを長期的に口腔内で維持していくことが難しくなります。
炎症抑制
生体の中に生体に無いものを入れるインプラント治療は準備段階として、口腔内の炎症のコントロールが不可欠です。インプラント治療に限らずどのような歯科治療も、先ず最初に取り組まなければいけないものは炎症の抑制です。
炎症がある状態での外科治療は感染のリスクが増大し、また治癒も良くないからです。
インプラントを長く口腔内で維持していくためにも炎症のコントロールは、医療者及び患者との相互協力上に成り立つと言えます。
インプラント埋入までは口腔内の管理はできているが、インプラントに最終補綴物が装着された後は、また元の炎症のある口腔内に後戻りではインプラントを喪失するリスクも高くなります。
修復治療の設計
失われた組織をどのように回復するか?
外科的に歯を含めた組織修復が可能か否か?等を先ず検討しなければなりません。
それができなければ、人工物で何処まで喪失した組織の回復ができるかなど、緻密な修復治療の診断が必要となります。
修復物の設計→インプラントの埋入位置の決定→サージカルガイドの作製(パノラマ・デンタル・CTこれらを統合して骨の全貌がわかる)
適正な歯冠頬舌幅・近遠心幅による診断用ワックスアップが行われ、サージカルガイド作製に至ります。
どの部分にどのくらい骨を造る必要があり、軟組織を配備しなければならないか?
付着歯肉の幅がない場合、患者さん自身によるメインテナンスが行いにくくなるため炎症が惹起しやすくなってしまう。
そうならないためには軟組織をどのくらいインプラント周囲に配備しなければならないかなども合わせて設計する必要がある。また埋入深度はどのくらいにするか?歯肉の幅及び厚みを考察して決定します。
機能と審美
スマイルライン・リップサポート・骨のクオリティ・軟組織の状態・アーチと歯肉豊隆の整合性が重要です。
例えば総義歯からインプラント治療に移行する場合を例に例えてみます。
何でもしっかり噛めるそして見た目の顔貌、スマイルの状態などクリアするために旧義歯を修正する。
もちろん顎位が定まらなければインプラント治療には移行できません。最低でも半年以上は修正した義歯を患者さんに使用してもらい、問題なければ旧義歯をデユプリケーションしてインプラント治療に移行できるのです。
ですから『インプラントを入れたいんです』という患者さんの要望を聞いてから、インプラント埋入までは時間がかかるのです。
インプラント治療とは、歯科での総合力が問われる治療と言えるのです。