先日、こんなギモンをいただきました。
「私の子供がスマホやテレビをみているとき、口が”ポカン”と開いてるときがあります。健康には問題ないのでしょうか?」
たしかに、子どもは集中しているからか、口を開けたままにの様子をみることがあります。
結論をいえば、小児期の長い「お口ポカン」は要注意です。
小児期は、口の正常な機能と発達を獲得していく大切な時期です。そんな時期にみられる「お口ポカン」には注意が必要なのです。原因と対策を解説しますね。
こどものお口ポカン〜口唇閉鎖不全症
ゲームに夢中になっている時、テレビを見ている時など、お口が「ポカン」と開いていませんか?
つまり口唇が閉じていない状態を口唇閉鎖不全症と言って、口腔機能発達不全症の一つとして位置付けられます。
小児期はお口の正常な機能と発達を獲得していく大切な時期です。そんな時期に見られる「お口ポカン」は要注意!
自然な状態では治りにくいため、早めに歯科医院で相談することをお勧めします。
もちろん大人の場合もお口ポカンは問題はあるのでドキッとした方は最後まで読んでくださいね。
お口ポカンの原因
舌が正しい位置にないために、お口の周りの筋肉に不調和がある→睡眠時無呼吸症候群にも繋がる。
舌癖がある(舌で上の前歯や下の前歯を押したり、舌を噛んだり、飲み込む時に前歯の歯と歯の間から舌を出してしまう癖のこと)
歯並びの問題がある
下唇を噛む癖がある
指しゃぶりを長期間にわたってしている
耳鼻咽喉科疾患がある:アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎・アデノイド・口蓋扁桃肥大 など
お口ポカンは耳鼻咽喉科疾患との関連もあるので耳鼻咽喉科で治療をすることも大切ですね
お口ポカンの問題点と口呼吸
体への悪い影響:口呼吸であると、ウイルスやホコリなど乾燥した空気を直接肺に吸い込むことによって、病原体が体に侵入しやすくなり喉などもダメージを受けます。風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
(鼻呼吸の場合、病原菌を吸い込んだとしても鼻の粘膜や喉の奥にある扁桃が体を守ってくれる役割を果たします)
食べることに対する悪い影響:口呼吸をしていると食べ物を食べた時に、呼吸と食べ物を噛んで飲み込む動作を一緒にしないといけなくなるので、口を開けたままくちゃくちゃと音を立てて飲み込むという食べ方になってしまいます。それと同時にしっかり噛むことができないので、早食いになってしまったり、あまり噛まなくても飲み込める柔らかい食事が好きになってしまうこともあります。
お口の中への悪い影響:虫歯・口臭(大人の場合は歯周病も):口呼吸をしているとお口の中が乾燥しやすい状態になります。そうなるとお口の中の細菌が繁殖しやすい状態になるため、虫歯になりやすく大人の場合は歯周病にかかりやすくなります。さらに細菌数増加によって口臭の原因ともなります。
特に歯面の乾燥によって前歯だけ着色がついている場合も多く見られます。
顔に対する悪い影響:横顔を見るとお口ポカンの子供には次のような特徴があることがわかっていると報告されています。
鼻が低い、口元が出ている、顎が後ろに下がっている。つまりお口ポカンは子供の顎顔面の成長に影響を及ぼします。
(顎顔面は、顔の下の部分で、食べたり笑ったりするときに使う場所です。顎(あご)や口、鼻などが含まれています。顔の一部で、表情を作ったりおしゃべりをしたりするときに大切な場所なんです。)
姿勢への悪い影響:狭くなった呼吸路を姿勢によって確保しようとするため、猫背や巻き肩になってしまう。
など
まとめ
小児期の食べる機能は哺乳から離乳を経て咀嚼、嚥下とお口の正常な機能と発達を獲得していく大切な時期です。
口腔内の適切な発達を促すために口腔機能訓練を指導し鼻呼吸ができるようにトレーニングを行ってもらうこともあります。
また矯正歯科治療が必要なこともあります。
正常な機能を発達を獲得することによって、大人になってからの誤嚥性肺炎や睡眠時無呼吸症候群や歯周病を防ぐことにも繋がります。
何か気になることがあれば、歯科医院で相談してみることをお勧めします。
おまけ
ヨーロッパではお口を育てていくために、赤ちゃんのおしゃぶりも顎の発達機能を促すようなコンセプトでつくられた商品があるそうです。そこで紹介していただいた商品が「クラプロックスベイビー」(販売元:株式会社クラデンジャパン)。
管理人の働く歯科医院では出産のお祝いに購入される方が多い商品ですので参考までに紹介しておきます。