「にっこり」を支える歯科の技と哲学〜口腔内写真

管理人の働く歯科医院では、口腔内写真(写真資料)を頻繁に、たくさん撮影します。

「たくさん撮影するなあ(笑)」と印象を抱かれる患者さんもまれにいらっしゃいます。しかし、それはとても、必ず、絶対に!必要なことなのです。

歯科治療や予防診療をおこなう歯科医師や歯科衛生士にとって、正確に患者さんの口腔内の状態を把握することが理想的な治療のスタートです。

 

 



 

顔と名前を思い出せなくても、口腔内写真を見ればわかる

歯科医師や歯科衛生士は職業柄、患者さんの口腔内を良く覚えています。
しばらくお会いしていなくても、顔を思い出すことができない患者さんでも、口腔内写真をみるとその患者さんのことを思い出しますし、治療の履歴も覚えています。
デンタルコーディネーターは患者さんとの会話や趣味嗜好などもよく記憶しています。歯科医院内ではプロがそれぞれの分野で、一人の患者さんを総合的に把握しているのです。

口腔内写真撮影を行わないということは例えていえば、地図を持たずに目的地まで辿り着けと言われるようなもの。到着はおろか、歩くことさえ怖い。プロになればなるほどそう思うものです。

なんてちょっと大げさすぎましたね。

さて、重要な写真資料ですが、口腔内の状態を正確に撮影されたものでなくてはなりません。

スマホでも撮れる時代だから簡単だろう?と思われるかもしれませんが、それほど簡単ではありません。
正確な写真撮影が極めて難しいことを、あまりご存知ない方は少なくありません。

 

どうして口腔内の写真が必要なの?

「あの時はちびっ子だったのに、今はこんなに大きく成長したね。」

「あの頃は痩せていたのに、今は太ってしまったなあ」

とか日常の写真撮影でも過去と現在を比較して経過を振り返ることがありますよね。口腔内写真撮影も同じです。

  • 術前術後の比較
  • 口腔内の経年変化の記録と観察
  • 患者さんのモチベーションの資料として
  • 治療成果の確認 などなど

特に術者にとっては治療成果の確認は、自分自身のスキル向上のために必須です。

 

たとえば診査・診断に使えない写真の例を列記してみます。

  • 術前術後と比較ができないような規格化されていない写真
  • 一定の方向・倍率・同じ撮影範囲
  • 写真家のような印象的な写真
  • 枚数が足りず、口腔内の全箇所が確認できない写真

 

….まだまだあります。撮るだけでは論外!口腔内写真とは、高度かつ特殊な撮影技術なのです。
当医院では口腔内撮影カメラを常に検討し続け、いまではもう何台目かわかりません。

 

患者さんに寄りそう。それは精神論だけでなることはできません。
正しく撮影ができること。丁寧に診査資料を重ねて読み解いていけること。

そこではじめて、本当の意味で寄り添えているといえるのです。