咬合は奥が深いな、と臨床を行う上で、そう思った歯科医師は多いのではないでしょうか?
患者さん側からすると、冠が「高い」「低い」などの単なる調整に見えてしまう咬合調整は実はとっても奥深いのです。
咬合を構築、つまりは咀嚼を行う患者さんの口腔機能を構築することは、歯科医師にしかできない仕事です。
言い換えると、歯科医療は、歯と歯をかみ合わせ、咀嚼をして飲み込む、
つまり、人が生きていくために食物を摂取することに深く関わりがある仕事であると言えます。
そこで様々な場面で必要な咬合調整に必要な知識の一部を管理人なりに順番におさらいしてみよう思います。
天然歯の咬合調整の目的とは?
(引用)——————-
ある程度の早期接触を生じていても、生体の顎口腔系の適応能力により機能的調和がとれ、症状が出ていない状態があります。しかし開閉口筋群の自発痛や圧痛、顎関節症などが生じている状態で、診査の結果、その原因として早期接触が考えられる場合には、これを干渉部位と捉えて、除去するための咬合調整が行われます。
——————-(引用) (歯冠修復治療のテクニカルリクワイヤメント 桑田正博 医歯薬出版株式会社より)
上記の引用文からも咬合調整を行うにあたって様々なことを理解していないと、咬合調整が行えないということがわかりますのでちょっと用語をまとめてみました
- 口腔周囲筋・顎関節の問題を診断でき、口腔解剖学的知識を持つこと
- 最大咬頭嵌合位と顆頭安定位の違いと各採得方法
- フェイスボウトランスファー
- 咬合器の取り扱い法
- 咬合調整の実際の手順
なにわともあれ咬合が理解できないと咬合調整を行うこともできないし、患者さんに起こっている問題も診断できないですよね。
下顎の運動は関節と靱帯によって限界が与えられている限界運動であり、顆頭の作業側及び非作業側の動きは全く別の動きをしますし、例えば犬歯がI級関係にある場合、犬歯のエッジとエッジが限界である限界内運動であり前側方運動は自由に動くことができる限界内運動ですよね。
咬合は3級テコによって営まれ、それは支点を関節、力点を咬筋、作用点を歯としたテコの要素が重要な力学ということも理解しなくてはならない。
咬合調整の目的と言ってもまずは知らないといけないことが山のようにあります。