歯の健康と同じように目の健康を考える

 歯科医院へ来ても置いている絵本を読む子どもは少なくなってきているように感じます。

つい先日も、ママと一緒に来院した2歳児はスマホをさわり、スワイプをして、自分が好きなコンテンツを見つけていました。

こんなちびっ子がスワイプ!!仰天しました。。

ママに聞くと「今はみんなしていて当たり前ですよ」との返答にまたまた驚愕!

子どものスマホ利用が低年齢化していると感じる昨今。低年齢でのスマホの使いすぎは視機能の発達に影響を及ぼさないのかと疑問に思ったのでちょっと調べてみました。

2歳児のネット利用率は58.8%

 この数字はこども家庭庁2023年度保護者による回答のデータからの引用です。(2歳児の保護者n=165)

8歳児に至っては92.3%(保護者n=323)です。

ガラケーが主体だった2010年頃。今では遠い昔のような感じですが、その頃はネットもまだ子どもたちには普及していませんでした。しかしスマホの普及に伴ってネット利用する子どもが増加していったことは想像に難くないでしょう。

ネット利用低年齢化の実態に驚きですが、こうなってくるとネットを何歳から使わせるかではなく、どのように使わせるのかに考え方をシフトチェンジしないといけなくなってきそうです。

両眼視の発達は子どもの時だけ

両眼視とは両方の眼を使ってものを見る視覚機能のことをいいます。それぞれの眼から送られてくる視覚情報を脳で統合し立体で深さのある視覚を作ることができます。

この発達は生後2ヶ月から6ヶ月で発達し始め、学童期後半には大人と同じくらいの両眼視機能を獲得するようです。

そんな視機能を獲得する時期に、スマホを長時間見ている状態がいいとは言えませんね。

でもこの機能が悪いとどうなってしまうのかも疑問です。

距離感の把握や空間の認識が不得意になってしまう。つまり成長したのちには球技が苦手になってしまう、なんてことが起こるようです。

低年齢時のネットゲームのやりすぎなどには注意したいところでね。

スマホの利用と目の関係

長時間利用のスマホ愛用者は注意

スマホなどのデジタルデバイスの長時間使用による眼科的障害の主な要因は、近くのものを見ようとした時に起こる眼の反応つまり近見反応に関連しています。

カンタンに知る!近見反応の3つの要素
  • ピント合わせ(調節):目が本を読むときなどに、ぼやけないように焦点を合わせることです。目の中のレンズが形を変えて、見たいものにピントを合わせるように働きます。
  • 両目で見る(輻輳:ふくそう):両方の目が近くのものを見るために内側に向くことです。たとえば、鼻の近くにあるおもちゃを見るとき、両方の目がそのおもちゃに向かって寄っていきます。
  • 瞳を小さくする(縮瞳):近くのものを見るときに目の黒い部分(瞳孔)が小さくなることです。これにより、見たいものがはっきりと見えるようになります。

特にスマホの画面が眼前に近いほど、眼には多くの負荷が必要になります。(必ず画面から30㎝以上の距離を取りましょう)

スマホを近くでずっと見ていることは過度な近見反応を長時間続けることになります。

スマホを3時間以上見ているの子どもや大人には次のような症状が見られるようです。

眼精疲労・肩こり・頭痛・眼の調節異常・近見障害・瞳孔反応異常・複視・両眼視異常・輻輳異常・ドライアイなど。

気になるワード、スマホ斜視って?

 年少者や若者の間に増えているという「急性内斜視」

スマホを長時間見ていることによって調節と輻輳のバランスが崩れ、これが続くと目が内側に寄ってしまうことがある病態で、ものが2重に見えたり、歩きにくくなったりと生活に支障をきたします。

大人よりも幼少期のほうが、目が内側に寄った状態に適応しやすいことがわかっているようです。

まとめ 

目が疲れたら遠くの緑を見なさいと管理人は幼少期によく言われました。今でも習慣的にそうしていますが、デジタル社会のこの現代、私たちは目をより労ってあげることも大切だとわかりました。

スマホを利用する上で気をつけたいことをまとめますね。

スマホは画面から30〜40cm離して見る。1日の使用時間は長くても3時間まで。

10分見たら10秒遠く(5〜6m先)を見て休憩。20分見たら20秒遠くを見て休憩。1時間見ると眼の疲労が戻るのに20分かかる。とにかく目には休憩時間を作ってあげましょう。

スマホ首やストレートネックを予防するためにも正しい姿勢で見る。寝転がっての姿勢はおすすめしません。

デバイスはできるだけ大きな画面がおすすめ

歯も大切ですが、目も健康ににっこりしたいですね。