おわら風の盆:幻想の夜そして日本の心

 越中八尾の風の盆をご存知ですか?(富山県)

「何?盆踊り!?」なんて思ってしまった人は大間違いですよ。

私とおわら風の盆との出会いは、1冊の漫画。『月影ベイベ』小玉ユキ(小学館)。

舞台が越中八尾。高校生がこんなに真剣になる踊りがあることに衝撃を受けたのがきっかけでした。

今回は管理人のおわら風の盆2024を体験した感想回です。

風の祭りに込められた祈りと願い

  おわら風の盆は毎年9月1日〜3日までの3日間のみ開催されます。

この時期は台風の季節。雨が降っても中止です。1年に3日間だけの特別なお祭り。

山脈から麓に吹き下ろす秋風が稲に害を与えてしまう、そんな台風到来の時期。

収穫前の稲が被害に遭わないように祈る、豊作祈願のお祭りが風の盆。210日の風の厄日に風神鎮魂を願う祭りなのです。

「おわら」と言う言葉にはいくつかの説があるようで、「おはら」がいつ「おわら」になったのかもはっきりしないと言うこと。

また盆は休みのことを「ボン(盆日)」と言う背景があるそうです。

坂道を歩きながら感じた風情

 風の盆が行われる旧町は山の傾斜に細長くできた坂の町。

狭い通りの両側には雪流しなどに使われる「エンナカ」と呼ばれる用水が流れています。

その水音もとても心地よく夜の風の盆を素敵に演出してくれています。

坂道を歩くにはちょっと大変ですが、特に諏訪町は日本の道百選に選ばれた町です。

風情のある建物やお店が古き良き日本が残っている感じがまた素敵です。

「エンナカ」と呼ばれる用水があり、緩やかな坂道にはぼんぼりが並ぶ諏訪町
諏訪町の踊り子さん達。豊年踊り(旧踊り)
駄菓子屋さんには、大人とちびっ子で大賑わい。
懐かしいお菓子もたくさん。
昭和感が素敵な美容室。

風と踊りが織りなす幻想的な夜の踊り

おわら風の盆は旧町と呼ばれる、「東新町」「西新町」「諏訪町」「上新町」「鏡町」「東町」「西町」「今町」「下新町」「天満町」と「福島」を合わせた11の町で行われます。

その11の町で、衣装も踊り方も違います。

自分好みの町を巡るのも楽しみの1つ。この3日間のために10年以上通い詰めている人もいるほど風の盆には魅力があります。

地方唄、三味線、胡弓どれもが情緒、哀愁を誘う。幻想的な夜を演出しています。

これは聴いてみないと想像ができないかもしれませんね。

編笠を被ったその下は可愛らしい女の子や男の子の顔が。

女性の所作はとても優雅で、男性の所作は力強く。

これも見てみないと感動が伝わりませんね。

一度はぜひ足を運んでほしいと思う祭りでした。

西新町の踊り子さん達。女踊り。
青年男子の背中には「対い鳩」の紋が描いてあります。男踊り。
諏訪町、地方唄のうたいてさん。圧巻の心に響く唄が感動的でした。