日本の伝統芸能にふれる〜狂言観劇と能面展の体験記

 日本にはさまざまな伝統芸能があり、演劇、音楽、舞踊、工芸など、それぞれが奥深い魅力を持っています。


今回は、偶然のご縁で、能面展の見学狂言を観劇する機会をいただきました。その中で学んだことや感じたことを、備忘録としてご紹介したいと思います。

如山会能面展

如山会能面展に参加しましたが、会場にはたくさんの能面が展示されていて、ひとつひとつが持つ独特の表情や雰囲気に圧倒されました。特に面白かったのは、同じ種類の面であっても、作り手によって微妙に表情が異なること。

これが、能面作りの奥深さなのだと実感しました。

初心者は、まず「小面(こおもて)」と呼ばれる面から作るそうです。木の選定から始まり、古さを出すために膠(にかわ)を使って塗装を施し、仕上げていきます。さらに、ひげの部分には馬の毛を使用するなど、細部へのこだわりがすごい!

こういった技術を伺うことができ、とても興味深い時間でした。

実際に能面をつけさせて頂いて

実際に面をつけさせて頂いて驚いたのは、その視野の狭さです。

目の部分が小さく限られているため、視界がとても限定されます。この状態で舞台で動き、表現を行うなんて、まさに熟練の技術だと感じました。

能面はただの道具ではなく、その役の感情や物語を表現する重要な要素です。

それを作り、また使いこなす人たちの技術と情熱に、改めて敬意を抱きました。 

第35回如山会能面展にて、梅原如山先生の面

初めての能楽堂

能楽とは、狂言の2つを指す総称です。それぞれが独特の魅力を持っており、深い文化的背景があります。

  • : 唄やセリフを取り入れた歌舞劇。5番立と呼ばれる、神、男、女、狂、鬼の5つの演目に分けられます。
  • 狂言: セリフを中心とした劇で、人間の喜怒哀楽や滑稽さを描くもの。

初めて触れるなら「狂言」は気軽に楽しめるかもしれませんね。

能楽はもともと屋外で行われていたその名残で現代の能楽堂には特徴的な屋根がついています。

この屋根は、建築的な美しさだけでなく、舞台全体を神聖な空間に見せる役割を果たしています。

舞台には、本舞台橋掛という構造があります。

この世とあの世の境目を表現したり、登場人物が現れるまでの時間経過を演出するなど、ストーリーに重要な役割を果たします。

本舞台: 演者が主に演技を行う場所。

橋掛: 本舞台から舞台袖へと伸びる通路。

 また能楽堂の舞台の鏡板には松の絵が描かれています。

この松は特別な意味を持ち、神の依代とされているとのことです。

茂山千三郎さんの大藏流三番三 

  三番三には五穀豊穣や平和を祈る儀式的な意味が込められています。

 茂山千三郎さんが演じる大藏流の三番三を初めて拝見したのですが、その一挙一動には目を奪われ、まさに圧倒される体験でした。

舞台を彩る笛、小鼓、大鼓の音色にも大いに圧倒されました。それぞれの音が舞台の雰囲気を引き立て、力強い動きと完全に調和し、一体感を生み出している感じがしました。

さらに、直面から黒色尉の面に付け替え、鈴を鳴らしながら踏む姿には強烈なインパクトがありました。

その鈴の音によって、まさに祓いを受けたような感覚になり、管理人自身も心の奥底から清められるような神聖な気持ちになりました。

まさに祈りの舞台であることを強く実感させられました。

茂山千三郎さんの舞台を通じて、狂言や能楽が持つ精神性や歴史をほんの少しですが垣間見ることができた気がします。

初めての狂言の観劇には圧倒され、感動しました!

これを機に、さらに深くこの世界を知りたいと思いました。

 ぜひ皆さんも、能楽を観劇してにっこりしてみてくださいね。以上が今回の体験記です。